引き返せないことを知るのが大人だろうか。
人生にこまやかな慈愛の眼を注ぎながら心に染み入る筆で描く『哀切の人』。
直木賞作家・伊集院静のファンのために小説・エッセイなど著書を紹介しています。
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MODESTY 松井秀喜つつしみ深い生き方
伊集院 静
ランダムハウス講談社 刊
発売日 2007-03-23
オススメ度:★★★★★
読後感は清々しく、松井選手を更に好きになりました 2007-05-13
常に注目を浴びるスター選手である松井選手についてマスコミ報道から伺い知れないところまで筆者が暖かく紹介しています。
欧米的な価値観、グローバル・スタンダードといったボーダレスな環境の中で慎み深さという言葉は日本で忘れ去られ、相手から分かり易く(分らせるように)声高に主張することが生きていく上で必要という時代の雰囲気の中、松井選手の生き様は心を打たれます。
ノブレス・オブリージュ (noblesse oblige) みたいな立場として義務を果たすというよりも、さり気なく、誰にアピールするわけでもなく、ごく当然のこととしてベトナムの子供の里親になったり、難病の子供を見守っている松井選手の姿勢は美しいと思います。
一つだけ残念だったのは、W杯ベースボールの不参加問題について松井選手がヤンキースファンと日本のファンの板挟みの中でどのように苦悩していたのか、如何に決断をしたのか書いて欲しかったです。(まだ書くべきタイミング、環境では無かったのかもしれませんが・・・)
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伊集院 静
ランダムハウス講談社 刊
発売日 2007-03-23
オススメ度:★★★★★
読後感は清々しく、松井選手を更に好きになりました 2007-05-13
常に注目を浴びるスター選手である松井選手についてマスコミ報道から伺い知れないところまで筆者が暖かく紹介しています。
欧米的な価値観、グローバル・スタンダードといったボーダレスな環境の中で慎み深さという言葉は日本で忘れ去られ、相手から分かり易く(分らせるように)声高に主張することが生きていく上で必要という時代の雰囲気の中、松井選手の生き様は心を打たれます。
ノブレス・オブリージュ (noblesse oblige) みたいな立場として義務を果たすというよりも、さり気なく、誰にアピールするわけでもなく、ごく当然のこととしてベトナムの子供の里親になったり、難病の子供を見守っている松井選手の姿勢は美しいと思います。
一つだけ残念だったのは、W杯ベースボールの不参加問題について松井選手がヤンキースファンと日本のファンの板挟みの中でどのように苦悩していたのか、如何に決断をしたのか書いて欲しかったです。(まだ書くべきタイミング、環境では無かったのかもしれませんが・・・)
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白い声〈下〉 (新潮文庫)
伊集院 静
新潮社 刊
発売日 2004-12
オススメ度:★★★
キリスト教 2008-06-21
私はクリスチャンなのですが、このヒロインは、読んでいて全くそのように思えず最後まで違和感を感じたまま終わってしまいました。
信仰は精神面なので作家自身が知らなければそれは書けないものだと思いました。
三浦綾子さんの本は痛いほどこちらに通ずるものがあります。
ただ伊集院さんの描写はさすがですね!自分が外国を旅をしているように頭に風景が浮かびました。
純粋さ 2005-02-17
簡単に話の内容を説明すると、カソリック信者の美しい女性がアンチカソリックの問題のある男性を追いかけ、救うと言うような話。長い話なのでうまく要約するのは難しいです。
僕はこの話を読んでいて、主人公である玲奈に少なからぬ苛立ちを覚え、野嶋にはある一種のシンパシーを感じました。玲奈の純粋な想いが野嶋を救うという筋のはずが、本当に純粋だったのは野嶋なのではないだろうか?と思ってしまいました。
玲奈も野嶋も人間らしくないというのが一つの仕掛けなのでしょう。そして、巡礼と言うイベントを超えることによって、玲奈の持つプラスの人間らしくなさと野嶋が持つマイナスの人間らしくなさが巧い具合に混ざり合って人間らしい人間を創りだしたのではないでしょうか?
題名の「白い声」これは「人間」の声です。本当に神聖なのでは神などではなく、「人間」なのです。高潔さを持ち、汚さを持つ「人間」こそが本当は神聖なものなのではないでしょうか?
そういった意味ではこの本は宗教を否定するものなのかもしれない。
救いを求めた果てに。 2005-02-03
表紙と帯のコピーに惹かれて何となく手に取った小説。
いざ読んでみたら、「こんな出来事は有り得ない」といったような
設定や展開がいくつもあるので、少なからず違和感を感じましたが
逆に「有り得ない」ような物語だからこそ最後まで読むことが
出来たのだと思います。
フィクションだからこその醍醐味、といったところでしょうか。
後半(下巻)の舞台は日本からスペインに移ります。
スペインへはまだ一度も行った事がないので、イメージが掴みづらいと
思っていましたが、物語を読んでいると自分もその場所にいるような
感覚になりました。特にスペイン巡礼の部分は個人的に好きなところです。
読んでいたら自分も巡礼に行ってみたいとさえ思うようになりました。
(生半可な気持ちでは無理だと思いますが・・・)
最後に、野嶋は救われたのか、否か・・・。
少なくとも、玲奈と共に巡礼をしていた時の彼は救われていたはずです。
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伊集院 静
新潮社 刊
発売日 2004-12
オススメ度:★★★
キリスト教 2008-06-21
私はクリスチャンなのですが、このヒロインは、読んでいて全くそのように思えず最後まで違和感を感じたまま終わってしまいました。
信仰は精神面なので作家自身が知らなければそれは書けないものだと思いました。
三浦綾子さんの本は痛いほどこちらに通ずるものがあります。
ただ伊集院さんの描写はさすがですね!自分が外国を旅をしているように頭に風景が浮かびました。
純粋さ 2005-02-17
簡単に話の内容を説明すると、カソリック信者の美しい女性がアンチカソリックの問題のある男性を追いかけ、救うと言うような話。長い話なのでうまく要約するのは難しいです。
僕はこの話を読んでいて、主人公である玲奈に少なからぬ苛立ちを覚え、野嶋にはある一種のシンパシーを感じました。玲奈の純粋な想いが野嶋を救うという筋のはずが、本当に純粋だったのは野嶋なのではないだろうか?と思ってしまいました。
玲奈も野嶋も人間らしくないというのが一つの仕掛けなのでしょう。そして、巡礼と言うイベントを超えることによって、玲奈の持つプラスの人間らしくなさと野嶋が持つマイナスの人間らしくなさが巧い具合に混ざり合って人間らしい人間を創りだしたのではないでしょうか?
題名の「白い声」これは「人間」の声です。本当に神聖なのでは神などではなく、「人間」なのです。高潔さを持ち、汚さを持つ「人間」こそが本当は神聖なものなのではないでしょうか?
そういった意味ではこの本は宗教を否定するものなのかもしれない。
救いを求めた果てに。 2005-02-03
表紙と帯のコピーに惹かれて何となく手に取った小説。
いざ読んでみたら、「こんな出来事は有り得ない」といったような
設定や展開がいくつもあるので、少なからず違和感を感じましたが
逆に「有り得ない」ような物語だからこそ最後まで読むことが
出来たのだと思います。
フィクションだからこその醍醐味、といったところでしょうか。
後半(下巻)の舞台は日本からスペインに移ります。
スペインへはまだ一度も行った事がないので、イメージが掴みづらいと
思っていましたが、物語を読んでいると自分もその場所にいるような
感覚になりました。特にスペイン巡礼の部分は個人的に好きなところです。
読んでいたら自分も巡礼に行ってみたいとさえ思うようになりました。
(生半可な気持ちでは無理だと思いますが・・・)
最後に、野嶋は救われたのか、否か・・・。
少なくとも、玲奈と共に巡礼をしていた時の彼は救われていたはずです。
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ぼくのボールが君に届けば
伊集院 静
講談社 刊
発売日 2004-04
オススメ度:★★★
やさしい気持ちになれる本♪ 2005-05-08
どの話も野球にまつわるエピソードが書かれている。それは過ぎ去った日々の懐かしい思い出であったり、生きていく張り合いであったり。この作品を読んでいると、キャッチボールがとても素敵なことに思えてくる。人は、いろいろな人生を抱えて生きている。だがどんな人でも、キャッチボールのときは笑顔になる。それはボールと一緒に、お互いがお互いの心を受けとめ合っているからではないだろうか。切ない話が多かったが、読んだ後にやさしい気持ちになれる作品だった。
久々によい感動をもらえました♪ 2005-03-31
しんどい時や、もうどうでもいいって時に読んで、少し気持ちが楽になれました・・・
出てくる人は病気や後悔を持っている。。。
でもつらいことも、きっと乗り越えられる☆
どんなことでも意味があるし、神様もいる。だから頑張っていこう、大切な人に届けたい言葉だと思います。
私は野球は下手だけど観るのは大好き!です。
野球が、上手い・下手、好き・嫌いではないんだ、というメッセージが伝わってくる。野球が人が好きになる、そんな話です★
このレビューを読んで、本と出会って、みなさんが力をもらえる事を祈ってます〜☆
「哀愁」が全編に漂う 2004-07-15
全ての話に野球が絡んでくる短編集である。
全ての話に感動できる短編集というのは滅多にないけど
これはどれもそれなりにいい話で
最後まで読みきれた。
私は2作目の「えくぼ」という話が一番心を打った。
悲しい話だと思うと同時に
今後の「吉乃」はある意味幸せになれるのかもと思った。
あまりにいい話だと思ったんで
15歳の娘にも読ませてみた。
20分くらいで読めるから読んでみなと。
登場人物は結構大人なんだけど
15歳の娘は「いい話だ」と目頭を押さえていた。
おぉ〜中学生でも感動できる話なんだと思った。
で、職場の年輩の同僚にもすすめた。(56歳)
「ちょっと読んでみてくださいよ」と。
読み終わって一言「で、なんですか?」
あら、全ての人を感動させるわけじゃないのねって感じだった。
(⌒-⌒;)
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伊集院 静
講談社 刊
発売日 2004-04
オススメ度:★★★
やさしい気持ちになれる本♪ 2005-05-08
どの話も野球にまつわるエピソードが書かれている。それは過ぎ去った日々の懐かしい思い出であったり、生きていく張り合いであったり。この作品を読んでいると、キャッチボールがとても素敵なことに思えてくる。人は、いろいろな人生を抱えて生きている。だがどんな人でも、キャッチボールのときは笑顔になる。それはボールと一緒に、お互いがお互いの心を受けとめ合っているからではないだろうか。切ない話が多かったが、読んだ後にやさしい気持ちになれる作品だった。
久々によい感動をもらえました♪ 2005-03-31
しんどい時や、もうどうでもいいって時に読んで、少し気持ちが楽になれました・・・
出てくる人は病気や後悔を持っている。。。
でもつらいことも、きっと乗り越えられる☆
どんなことでも意味があるし、神様もいる。だから頑張っていこう、大切な人に届けたい言葉だと思います。
私は野球は下手だけど観るのは大好き!です。
野球が、上手い・下手、好き・嫌いではないんだ、というメッセージが伝わってくる。野球が人が好きになる、そんな話です★
このレビューを読んで、本と出会って、みなさんが力をもらえる事を祈ってます〜☆
「哀愁」が全編に漂う 2004-07-15
全ての話に野球が絡んでくる短編集である。
全ての話に感動できる短編集というのは滅多にないけど
これはどれもそれなりにいい話で
最後まで読みきれた。
私は2作目の「えくぼ」という話が一番心を打った。
悲しい話だと思うと同時に
今後の「吉乃」はある意味幸せになれるのかもと思った。
あまりにいい話だと思ったんで
15歳の娘にも読ませてみた。
20分くらいで読めるから読んでみなと。
登場人物は結構大人なんだけど
15歳の娘は「いい話だ」と目頭を押さえていた。
おぉ〜中学生でも感動できる話なんだと思った。
で、職場の年輩の同僚にもすすめた。(56歳)
「ちょっと読んでみてくださいよ」と。
読み終わって一言「で、なんですか?」
あら、全ての人を感動させるわけじゃないのねって感じだった。
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岬へ 海峡・青春篇 (新潮文庫)
伊集院 静
新潮社 刊
発売日 2002-08
オススメ度:★★★★
面白かったです。 2009-08-31
著者の「海峡」幼年篇、「春雷」少年篇、そしてこの「岬へ」青春篇まで合わせて約1,800頁くらいありますが、とても読み応えがありました。
涙あり笑いありと読み進むほどにワクワクしてきます。
「岬へ」の後半くらいからは感慨深いものがあり、胸が熱くなり痛くもなり知らず知らずのうちに涙が溢れてしまいました。
伊集院氏の著書はまだまだ読み始めたばかりです。
まだあるたくさんの著書をこれから読み漁ってみたくなりました。
成長する主人公が頼もしくもある 2007-01-26
読んでいて、泣くことが多かったです。そんなに、凝った文体ではないのですが、中年になると涙もろくなるのでしょう。
後ろの方の、主人公が岬から日本海を観る場面は、主人公の感動が動的な感覚で、その風景描写から伝わってきます。こういうのを行間から立ち上る〜と言うのでしょう。
しかし、長い分量です。
三田誠広さんが、仰有ってた、文学として書いて面白い(含蓄の有る。書き手によって色々異なる)テーマ(違ってたらご容赦を…)として、家業を継ぐか、継がないで、親と決裂する、とかというテーマも含まれていて、それが主軸です。
その上に何層にも別のテーマが描かれています。
人間は、何の為に生きるのか…。身近な人の死をどう受け入れていくのか…。
そして、後半では、人種差別的な主観で主人公を観ていた(意識はしないが、心の片隅に有った)その意識を越えて、主人公に恋心を打ち明ける幼なじみの女性。そういう、登場人物がどういう人なのかを始めからは明かさない、段々、おいおい読者に訴えてくる書き方です。
主人公の青年は、硬派です。作者の伊集院さんの投影が含まれているとすれば、相当なハードボイルドな一面が有りますね。強い者にでも、果敢に立ち向かっていく喧嘩の場面などもあります。
人間は、身近な人を次々に失っていく定めなのだ、という、その定めから来る喪失感や哀しみに、どう折り合いをつけていくのか…、ということが、おそらくこの本の一番のテーマではないか、と思います。
人生に対する教訓が・・・ 2005-05-06
人はどんなことがあっても逃げてはいけない。生きていかなければならない。英雄は人とのふれあいの中で、確実に何かをつかみ取り、新たな1歩を踏み出していく。決して忘れてはならないもの、それは英雄に対するさまざまな人の思いだ。その思いを無にすることなく歩んでほしい。人は人に支えられて生きているのだから。
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伊集院 静
新潮社 刊
発売日 2002-08
オススメ度:★★★★
面白かったです。 2009-08-31
著者の「海峡」幼年篇、「春雷」少年篇、そしてこの「岬へ」青春篇まで合わせて約1,800頁くらいありますが、とても読み応えがありました。
涙あり笑いありと読み進むほどにワクワクしてきます。
「岬へ」の後半くらいからは感慨深いものがあり、胸が熱くなり痛くもなり知らず知らずのうちに涙が溢れてしまいました。
伊集院氏の著書はまだまだ読み始めたばかりです。
まだあるたくさんの著書をこれから読み漁ってみたくなりました。
成長する主人公が頼もしくもある 2007-01-26
読んでいて、泣くことが多かったです。そんなに、凝った文体ではないのですが、中年になると涙もろくなるのでしょう。
後ろの方の、主人公が岬から日本海を観る場面は、主人公の感動が動的な感覚で、その風景描写から伝わってきます。こういうのを行間から立ち上る〜と言うのでしょう。
しかし、長い分量です。
三田誠広さんが、仰有ってた、文学として書いて面白い(含蓄の有る。書き手によって色々異なる)テーマ(違ってたらご容赦を…)として、家業を継ぐか、継がないで、親と決裂する、とかというテーマも含まれていて、それが主軸です。
その上に何層にも別のテーマが描かれています。
人間は、何の為に生きるのか…。身近な人の死をどう受け入れていくのか…。
そして、後半では、人種差別的な主観で主人公を観ていた(意識はしないが、心の片隅に有った)その意識を越えて、主人公に恋心を打ち明ける幼なじみの女性。そういう、登場人物がどういう人なのかを始めからは明かさない、段々、おいおい読者に訴えてくる書き方です。
主人公の青年は、硬派です。作者の伊集院さんの投影が含まれているとすれば、相当なハードボイルドな一面が有りますね。強い者にでも、果敢に立ち向かっていく喧嘩の場面などもあります。
人間は、身近な人を次々に失っていく定めなのだ、という、その定めから来る喪失感や哀しみに、どう折り合いをつけていくのか…、ということが、おそらくこの本の一番のテーマではないか、と思います。
人生に対する教訓が・・・ 2005-05-06
人はどんなことがあっても逃げてはいけない。生きていかなければならない。英雄は人とのふれあいの中で、確実に何かをつかみ取り、新たな1歩を踏み出していく。決して忘れてはならないもの、それは英雄に対するさまざまな人の思いだ。その思いを無にすることなく歩んでほしい。人は人に支えられて生きているのだから。
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可愛いピアス (文春文庫)
伊集院 静
文藝春秋 刊
発売日 2003-03
オススメ度:★★★★★
背筋の伸びた言葉に打たれる 2007-12-16
60ほどのエッセイが寄せられている。
その話のかなりの部分に、競輪やマージャンなど、自分には余り縁のないギャンブルにまつわる出来事が
ちりばめられているから、ちょっと取っつきにくく感じて、しばらく放ってしまっていた。
しかし、ギャンブル話は一つのきっかけのようなもので、読み進むうちに気にならなくなってきた。
お酒にしても、ここまで飲まないけど、でも、そこかしこにある大人の男としての思いが、だんだん染み
てきた。
軽い話もあるし、重い話も軽妙に片づけている部分もないではない。
でも、根本のところで、ずっしりと腹に効いてくる。そんな作者の思いが伝わってくる。
特にこの国の、政治家とか官僚とかの振る舞いに心の奥底で厳しく怒っている思いが伝わる。
我が国の、本当に誇れる節度と言うものが、多くの公共の場面で失われて行く様を、重く受け止めている。
大人の男がだらしなくてどうすると(いや、生活ぶりは作者もかなりだらしないんだけど、そう言う意味
ではなくってね)、あからさまに聖人ぶったり扇動者っぽくしないで、しかし、厳しく諌めようとしてい
る。
標題の「可愛いピアス」がまさにそれで、まさかこんな話として出てくるとは思ってなかった。
もっと、艶めいた、あるいは少なくとも可愛い少女の話かと思ったら、なんのなんの硬派な気概にあふれ
た話しで感銘を受けた。
社会的にしかるべき地位にある人達の、自らを律する心意気が失われている。
作者の、そういった強者に向ける強い目が、背筋の伸びた姿勢がとても頼もしく、好きだ。
好きな人には安心して読める 2003-04-08
おそらくこの作者のエッセイは、好きか嫌いかにはっきり分かれると思います。私はこの「二日酔い主義」シリーズを最初から読んでいて、作者のどうしようもなくだらしのない、けれどもホロリとさせられる文章が好きです。「無頼」という言葉では語り尽くせないものがあります。
もう少し早く文庫化することって出来ないものでしょうか?
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伊集院 静
文藝春秋 刊
発売日 2003-03
オススメ度:★★★★★
背筋の伸びた言葉に打たれる 2007-12-16
60ほどのエッセイが寄せられている。
その話のかなりの部分に、競輪やマージャンなど、自分には余り縁のないギャンブルにまつわる出来事が
ちりばめられているから、ちょっと取っつきにくく感じて、しばらく放ってしまっていた。
しかし、ギャンブル話は一つのきっかけのようなもので、読み進むうちに気にならなくなってきた。
お酒にしても、ここまで飲まないけど、でも、そこかしこにある大人の男としての思いが、だんだん染み
てきた。
軽い話もあるし、重い話も軽妙に片づけている部分もないではない。
でも、根本のところで、ずっしりと腹に効いてくる。そんな作者の思いが伝わってくる。
特にこの国の、政治家とか官僚とかの振る舞いに心の奥底で厳しく怒っている思いが伝わる。
我が国の、本当に誇れる節度と言うものが、多くの公共の場面で失われて行く様を、重く受け止めている。
大人の男がだらしなくてどうすると(いや、生活ぶりは作者もかなりだらしないんだけど、そう言う意味
ではなくってね)、あからさまに聖人ぶったり扇動者っぽくしないで、しかし、厳しく諌めようとしてい
る。
標題の「可愛いピアス」がまさにそれで、まさかこんな話として出てくるとは思ってなかった。
もっと、艶めいた、あるいは少なくとも可愛い少女の話かと思ったら、なんのなんの硬派な気概にあふれ
た話しで感銘を受けた。
社会的にしかるべき地位にある人達の、自らを律する心意気が失われている。
作者の、そういった強者に向ける強い目が、背筋の伸びた姿勢がとても頼もしく、好きだ。
好きな人には安心して読める 2003-04-08
おそらくこの作者のエッセイは、好きか嫌いかにはっきり分かれると思います。私はこの「二日酔い主義」シリーズを最初から読んでいて、作者のどうしようもなくだらしのない、けれどもホロリとさせられる文章が好きです。「無頼」という言葉では語り尽くせないものがあります。
もう少し早く文庫化することって出来ないものでしょうか?
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