引き返せないことを知るのが大人だろうか。
人生にこまやかな慈愛の眼を注ぎながら心に染み入る筆で描く『哀切の人』。
直木賞作家・伊集院静のファンのために小説・エッセイなど著書を紹介しています。
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眠る鯉 (文春文庫)
伊集院 静
文藝春秋 刊
発売日 2005-12
オススメ度:★★★
伊集院のゆとり 2005-12-18
楽に読める。あまり衝撃を受けたり溜息をつく必要がなく、しかし読書のよろこびは味わえる。星の数は言うまでもなく便宜的なものであり、
小説の価値は客観性と馴染むものではありません(念のため)。
さて著者の作品に不思議に漂う一種の安心感ないしは余裕は、どこから
来るものだろうか。おそらく、伊集院氏にとっては、男性には言うに言われぬ「あり方」のようなものが厳として存在し、そこにとどまるならば安心立命の境地は自然に訪れるものだ、というような認識があるのではないだろうか。「あり方」は作法とも規範とも異なるほぼ言語化不能な何かである。そして女性については、「自分は女性ではないからよくわからない」と伊集院氏は思っているのではないか。
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