引き返せないことを知るのが大人だろうか。
人生にこまやかな慈愛の眼を注ぎながら心に染み入る筆で描く『哀切の人』。
直木賞作家・伊集院静のファンのために小説・エッセイなど著書を紹介しています。
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羊の目
伊集院 静
文藝春秋 刊
発売日 2008-02
オススメ度:★★★★
運命に従順な目 2009-06-29
キリスト教の中では、「羊は義しき(ただしき)もの」などというらしい。
この世で行った行為を善悪として考えず、人の中にあるもの、その人の中で起こっていることにだけついて考えれば著書の中の羊の目をした男は”義しきもの”そしてその目は”運命に従順な目”そんなふうに感じました。
私が生きている世界は何処へ行ってもグレーゾーン。
白か黒かを口にすれば、白か黒かを追求すればたちどころに非難されてしまう…
正義感だけでは生きていけない…
白黒ハッキリさせる世界が羨ましいところも正直ある。
しかしながらそこには自ずと肝の据わった覚悟が必要となる。
己の肝について改めて考えさせられるような著書でした。
人は皆迷える子羊… 2009-02-21
時代を超えて国を超えて闘争に明け暮れる神崎武美がやがて自問する神の存在。それでも運命は神崎に終の住処を与えない。自分を育ててくれた博徒を実の親以上に慕い、稀代の侠客となった神崎武美の波瀾万丈の人生を描く。
骨太の物語で中盤まで快調に読ませるが、やや話を膨らませ過ぎた感があり、後半薄味になってしまったのが悔やまれる。
誰もが羊を見る目になる 2009-02-13
震えた…
魅力的な登場人物、煩くない情景・心理描写、予想のつかない展開。
すべてにやられた。
ヘタなハードボイルド、ヤクザ映画、Vシネなんかは吹っ飛んでしまうほどのインパクト。
俗っぽくなくディープさにはやや欠けるが、カリスマ性を感じるのは通俗さを廃した効果か。
ツキや運に頼ることなく、期待も見返りも求めず健気で狂信的に突っ走る主人公に自分を重ねることはできないが、同情せざるをえない。
アメリカでの救済や最後の孤島での因縁は、強引なストーリー上の辻褄合わせとは読めず、むしろ、「武美にもっと愛を…」と懇願する気持ち。
羊を見る目と言えば「神」になってしまうので、その仲介者としての立場で。
誤解を恐れずに言えば、日本男児必読の書である、と。
武士道であるとか職人気質のような魂、アイデンティティがあるのであれば、こういうのもあっていいんじゃないか。ある種、もっと根源的なものかもしれない。
「〜の品格」なんかを読む前に。
さらに詳しい情報はコチラ≫
伊集院 静
文藝春秋 刊
発売日 2008-02
オススメ度:★★★★
運命に従順な目 2009-06-29
キリスト教の中では、「羊は義しき(ただしき)もの」などというらしい。
この世で行った行為を善悪として考えず、人の中にあるもの、その人の中で起こっていることにだけついて考えれば著書の中の羊の目をした男は”義しきもの”そしてその目は”運命に従順な目”そんなふうに感じました。
私が生きている世界は何処へ行ってもグレーゾーン。
白か黒かを口にすれば、白か黒かを追求すればたちどころに非難されてしまう…
正義感だけでは生きていけない…
白黒ハッキリさせる世界が羨ましいところも正直ある。
しかしながらそこには自ずと肝の据わった覚悟が必要となる。
己の肝について改めて考えさせられるような著書でした。
人は皆迷える子羊… 2009-02-21
時代を超えて国を超えて闘争に明け暮れる神崎武美がやがて自問する神の存在。それでも運命は神崎に終の住処を与えない。自分を育ててくれた博徒を実の親以上に慕い、稀代の侠客となった神崎武美の波瀾万丈の人生を描く。
骨太の物語で中盤まで快調に読ませるが、やや話を膨らませ過ぎた感があり、後半薄味になってしまったのが悔やまれる。
誰もが羊を見る目になる 2009-02-13
震えた…
魅力的な登場人物、煩くない情景・心理描写、予想のつかない展開。
すべてにやられた。
ヘタなハードボイルド、ヤクザ映画、Vシネなんかは吹っ飛んでしまうほどのインパクト。
俗っぽくなくディープさにはやや欠けるが、カリスマ性を感じるのは通俗さを廃した効果か。
ツキや運に頼ることなく、期待も見返りも求めず健気で狂信的に突っ走る主人公に自分を重ねることはできないが、同情せざるをえない。
アメリカでの救済や最後の孤島での因縁は、強引なストーリー上の辻褄合わせとは読めず、むしろ、「武美にもっと愛を…」と懇願する気持ち。
羊を見る目と言えば「神」になってしまうので、その仲介者としての立場で。
誤解を恐れずに言えば、日本男児必読の書である、と。
武士道であるとか職人気質のような魂、アイデンティティがあるのであれば、こういうのもあっていいんじゃないか。ある種、もっと根源的なものかもしれない。
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